測光支援ソフトdigphot3を使ってみる

(2010/5/10)

ここからdigphoto3をダウンロードできます。32bit版はここからdigphoto4をダウンロードできます。

ステライメージ ver5(以下SI)を使ってデジタルカメラで撮影したRAW画像を測光してみます。

まず、変光星の写っている星座を撮影します。私はf=28mm(F4.0) ISO 800で30秒露出で撮影しています。この時、レンズのフォーカスメモリを2mにしてピンボケで撮影します。これをSIで読み込みます。

読み込み設定は「現像なし」「カラー画像」で自動補正のチェックはしません。

画像の読み込みが出来たら、ちょっと寄り道をして、「画像情報」を見ます。ここの■撮影情報の露出中央(例では 2010/1/9 18:13:41)が観測時刻になりますのでメモしておきます。

次に「合成」「RGB3色分解」でRGBの各色に画像を分解します。ここからはG画像だけを使います。

「光度測定」のアイコンをクリックして光度測定ウインドウを開きます。標準星をクリックして「設定」ボタンを押します。光度測定の設定は「測定方法」を「半自動」で「重心を探す」にします。

マウスで星をクリックすると測光します。半径設定はこんな感じで星がスッポリと入るような値にします。

次はV等級の変光星図を用意します。写真は「ぎょしゃ座ε」の測光をするために「ぎょしゃ座」を撮影したものです。

これが比較星等級がV等級で記入されている変光星図です。基本的に画像中の比較星は全てを測光します。しかし、以下の様なものは比較星として使えません。

1.飽和している
2.SKYのエリアに明るい星が入ってしまう
3.明るさがおかしい

まず、飽和の確認をします。これにはSIの3Dグラフ機能を使います。

3Dグラフのアイコンをクリックして明るい比較星をマウスで囲みます。すると3Dのグラフが作られます。飽和しているとこの例のように天辺が平らになっています。このようになってしまう星は比較星に使えません。

これは同じ画像のより暗い星の3Dグラフです。こちらは飽和していませんので比較星として使えます。

次は「SKYのエリアに明るい星が入ってしまう」についてです。

ある星を測光してみました。するとこの例ではSkyのエリア内に明るい星が入っています。これでは正しくSkyの明るさを測定出来ないので結果的に比較星の明るさが実際と違ったものになってしまいます。

最後の「明るさがおかしい」ですが、これは比較星の直線近似をした時に常に直線に乗らない比較星が有ったとします。その場合は比較星として使わない方が良いです。直線近似はdigphot3の比較星グラフで作成出来ます。方法はこのあと説明します。

この様にして測光に用いる比較星を決めます。さて、測光作業を始めましょう。

SIを光度測定にします。なっていなければ「光度測定」のアイコンをクリックして光度測定ウインドウを開きます。次に標準星をクリックします。そのあとは変光星図を見ながら写っている比較星を次々とクリックして行きます。そして、最後に変光星をクリックします。

「光度測定」ウインドウの「テキスト出力」ボタンを押して測定結果をテキストファイルで保存します。

SIはここまでです。次はdigphot3を起動して下さい。

digphot3を起動したら「比較星データ全クリア」ボタンを押して、S.Imageのチェックを確認します。

次に測光結果のテキストファイル(result1.txt)を開いて「編集」「すべて選択」「編集」「コピー」の順に操作してクリップボードに測光結果を転送します。

クリップボードのデータをdigphot3の右側の四角いエリアに貼り付けます。四角いエリアにマウスを移動させて右クリックして「貼り付け」をします。

貼り付けが出来たら右下の「比較星測光値」ボタンを押します。

自動的に比較星欄の測光値に数値が入ります。

最後のデータは変光星の測定値ですから比較星の欄から削除して変光星欄の測定値に入力します。

次は比較星のカタログ値を入力します。これは手入力になります。

変光星欄にある「測光」ボタンを押すと変光星の等級が算出されます。例では変光星の等級は3.69等級になりました。測光エラーの0.12は比較星を直線近似した時の標準偏差です。比較星の近似結果は直線ですので傾きとY軸接点の値(定数)が下に表示されます。同時に相関係数の計算結果も表示されます。

ところで、同時に何枚か撮影した画像を測光すると全てが同じ様に3.69等級とはなりません。

それは測定にバラツキが有るからです。バラツキには様々な要因があります。大気減光、感度ムラ、レンズの収差、空の状態、V band filterを使っていない、などなど挙げていると切りが無い位に沢山の要因があります。そこで、測光結果が正しいか評価する必要があります。私は以下の3点に注目して評価しています。

1.測光エラー
2.傾き
3.相関係数

「比較星グラフ」ボタンを押して比較星グラフを見ながら評価をすると分かりやすいです。同時にここで明るさがおかしい比較星を見つけるようになります。測光エラーは0.05以下になって欲しいですが無理ならば0.1以下にはなって欲しいです。傾きは「1」が良いです。0.8といった値はよろしくありません。相関係数は1に近いほど直線と相関が有ることを示しています。

この様にバラツキがありますので、一回の撮影で数枚の撮影をするようにします。そして、良好なデータが得られる物を採用します。


ステライメージを持っていない場合はFreeのIRISとMakaliiを使うと良いです。

IRISだけでも測光出来ますが光度重心を探してくれないのでコツがいります。そこで、IRISでRAWをFITSに変換してFITSをMakaliiで読み込む方法が良いです。


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